はじめに
BPO導入、いきなりはじめていませんか?
近年、業務効率化を目的に「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」を導入する企業が増えています。しかし、いざ導入しようとしても「どの業務を外注すべきか分からない」「何から始めればいいのか不安」といった声も多く聞かれます。
そこで注目されているのが、「社内業務の見える化」です。
業務の全体像を可視化し、課題や無駄を明確にすることで、BPOの効果を最大限に引き出せるようになります。
この記事では、初心者でも取り組める「業務の見える化」の方法と、その先にあるBPO導入準備の進め方についてわかりやすく解説します。
見える化とは?なぜ必要なのか
業務の見える化とは、「今、誰が、どんな業務を、どのくらいの時間で、どんな手順で行っているか」を、言語化・図式化することです。
見える化の目的
特に、BPO導入前にこの見える化を行うことで、外部委託すべき業務と、社内に残すべき業務の線引きが明確になります。
ステップ1:業務棚卸しの基本手順
まず取り組むべきは「業務棚卸し」です。
以下のステップに沿って進めましょう。
1. 業務を書き出す
部署ごと、担当者ごとに「日常的に行っている業務」を全てリストアップします。
例として・・・
一見細かくても構いません。むしろ粒度を細かくして、見落としを防ぐことが重要です。
2. 業務の属性を整理する
業務ごとに以下の情報も記載しておくと、後の分析に役立ちます。
項目 | 例 |
頻度 | 毎日/週1回/月1回など |
所要時間 | 約30分/2時間など |
担当者 | 部署名+個人名 |
関連ツール | Excel/メール/基幹システムなど |
業務の難易度 | 高/中/低 |
属人性の有無 | Aさんしかできない/誰でも対応可能 |
3. 重複・非効率をチェック
業務リストを俯瞰すると、次のような点に気づくことがあります。
これらの情報は、後の改善やBPO判断にとって非常に重要です。
ステップ2:見える化ツールを使って全体像を可視化
業務の棚卸しが終わったら、それを見える形にまとめましょう。
フローチャートで業務の流れを図にする
業務プロセスをフローチャートで描くことで、流れや分岐点、ボトルネックが明らかになります。無料ツール(例:draw.io、Lucidchart)などを使えば、誰でも簡単に作成できます。
例として・・・
この流れを可視化するだけで、「なぜここで時間がかかっているのか」が見えてきます。
業務マトリクスで重要度と外注可能性を評価
次に、業務ごとに以下の2軸で評価してみましょう。
外注しやすく、重要度が低い業務はBPOに向いています。
逆に、社内のノウハウや判断が必要な業務は、社内に残すべきです。
ステップ3:見える化がもたらす改善のヒント
業務の見える化は、それだけで多くのメリットをもたらします。
ムダの発見
属人化の解消
DXやRPAとの親和性アップ
見える化された業務は、デジタル化や自動化(RPA)との相性が良くなります。
「この作業、手入力ではなく自動でできるのでは?」という視点も生まれます。
ステップ4:BPO導入準備としての活用方法
いよいよ、見える化の成果をBPO導入に活かす段階です。
外注候補業務の洗い出し
これらを優先して、外注候補としてリストアップしましょう。
業務マニュアルの整備
外注するには、業務内容を正確に伝えるマニュアルが必要です。
見える化の段階で整理した手順や注意点をもとに、以下を明記します。
これにより、BPOパートナーとの認識のズレを防げます。
トライアル導入のススメ
いきなり大規模なBPO導入をせず、まずは小規模業務から委託し、実施しながら評価していきましょう。
例として・・・
トライアルを通じて、「うまくいく業務」「社内に残すべき業務」の境界がより明確になります。
まとめ:見える化こそ、BPO成功の鍵
BPO導入は、単に業務を丸投げするものではありません。
むしろ、「自社の業務をきちんと理解し、取捨選択できる状態にすること」が成功への第一歩です。
その土台となるのが、今回紹介した「業務の見える化」や「業務棚卸し」なのです。
業務を見える化すれば、改善点も明らかになり、業務効率化も同時に実現できます。さらに、BPO導入の不安も減り、よりスムーズな外部委託が可能になります。
自社の現状を正しく把握し、着実な一歩を踏み出しましょう。
それが、持続可能で強い組織づくりへの近道です。