
「人を増やすべきか、それとも外注すべきか」
この判断で立ち止まった経験のある経営者は少なくありません。
正社員を採用すれば、業務の安定や社内ノウハウの蓄積が期待できます。
一方で、人件費の増加、採用コスト、定着しなかった場合のリスクも背負うことになります。
外注は柔軟に使える反面、
「任せきりにならないか」
「品質や情報管理は大丈夫か」
といった不安がつきまといます。
問題を難しくしているのは、この判断がコストだけでなく、
将来の組織構造や経営スピードにまで影響する点です。
短期的には正解に見えた選択が、数年後に足かせになることも珍しくありません。
本記事では、正社員採用とBPO(業務外注)を組み合わせることで成果を出した企業事例をもとに、
コスト・リスク・スピードの観点から、現実的なバックオフィスの最適解を探ります。
単なるメリット・デメリット比較ではなく、
「なぜその選択がうまくいったのか」という判断構造に焦点を当てて解説します。

正社員か外注かで迷う企業が抱える共通の課題
バックオフィス業務は売上を直接生みません。しかし、事業が続く限り必ず必要で、
止めることもできない業務です。
だからこそ後回しにされやすく、気づいたときには負荷が限界を超えているケースも多く見られます。
多くの企業で共通している悩みは次の通りです。
・人件費が年々増加している
・採用しても、すぐに戦力にならない
・業務が属人化し、引き継ぎができない
・忙しさの割に、改善や効率化が進まない
この状態で正社員を増やすと、固定費だけでなくマネジメント負荷も一気に膨らみます。
一方で、十分な整理をしないまま外注に切り替えると、
「業務内容がブラックボックス化する」
「社内にノウハウが残らない」
といった別の問題が生じます。
重要なのは、採用か外注かを感覚で決めないことです。
迷いが生じている時点で、多くの場合、業務そのものが整理されていません。

成功企業に共通する考え方は「役割の切り分け」
成果を出している企業は、「誰を採用するか」「どこに外注するか」を考える前に、
「どの業務を、どの役割で回すか」を整理しています。
すべてを正社員に任せる、すべてを外注する、といった極端な判断はしていません。
業務を分解し、次のように役割を切り分けています。
・社内判断や改善が必要な業務
・定型化・標準化できる業務
前者は正社員、後者はBPOに任せる。
この切り分けによって、業務の質を保ちながら、コストとリスクを抑え、スピードを確保しています。
ポイントは、BPOを「人が足りないときの代替」ではなく、
「業務構造の一部」として設計していることです。

成果を出した企業の実践事例
事例① 正社員採用だけに頼らず人件費を抑えた企業
ある成長企業では、経理・労務・請求管理をすべて正社員で内製していました。
事業拡大とともに業務量は増えましたが、採用は思うように進まず、
既存社員の残業が常態化していました。
社内では「もう1人採用すれば回るのではないか」という声もありましたが、
採用コストや教育期間、将来的な人件費増を考えると簡単には決断できませんでした。
そこで同社は業務を洗い出し、
月次処理、データ入力、請求書発行準備などの定型業務をBPOに切り出す決断をします。
正社員は業務設計、数値確認、改善に集中する体制へ移行しました。
結果として、
・正社員を増やさず業務量増加に対応
・残業時間が大幅に減少
・人件費の固定化を回避
「人を増やす」という発想から、「業務を分ける」という視点に切り替えたことで、
バックオフィス全体の生産性が向上しました。
事例② 採用スピードの遅さをBPOで補完した企業
別の企業では、バックオフィス担当者の突然の退職により、業務が一時的に滞りました。
正社員採用を進めましたが、募集から入社、業務が安定するまでには数か月を要します。
その間、経営陣や現場がバックオフィス業務を兼務することになり、事業成長に影響が出始めていました。
そこで一時的な対応としてBPOを導入。
すると、業務は想定以上に早く安定しました。
・業務が即時に回復
・業務フローが可視化
・採用後の教育負荷が軽減
その後、正社員を1名採用しましたが、BPOは継続。
「人が入るまでのつなぎ」ではなく、恒常的な戦力として活用する体制へと方針を見直しました。

正社員とBPOを比較する際の3つの視点
「正社員 外注 どちらが良いか」という問いに、明確な正解はありません。
ただし、次の3つの視点で整理すると判断しやすくなります。
| ①コスト | 正社員は給与に加え、社会保険、採用費、教育コストが発生します。 BPOは業務量に応じた変動費として調整が可能です |
| ②リスク | 退職や休職は正社員特有のリスクです。 BPOは複数人で業務を支えるため、属人化しにくい特徴があります。 |
| ③スピード | 採用には時間がかかりますが、BPOは比較的短期間で稼働します。 事業変化が早い企業ほど、この差は経営に直結します。 |

人件費削減は「人数」ではなく「構造」で考える
人件費を抑えようとすると、「採用を止める」「人を減らす」という発想になりがちです。
しかし成功している企業は、業務構造そのものを見直しています。
・不要な業務が残っていないか
・属人化している作業はないか
・判断と作業が混在していないか
これらを整理したうえでBPOを活用することで、結果的に人件費は最適化されます。

正社員×BPOという選択がもたらす本当の価値
正社員とBPOを組み合わせる最大のメリットは、「経営が身軽になること」です。
・固定費を抑えながら成長できる
・変化に応じて体制を調整できる
・社内は本来注力すべき業務に集中できる
これは単なるコスト削減ではなく、経営判断の自由度を高める戦略と言えます。
まとめ|迷ったら「業務」から考える
採用か外注かで迷ったとき、最初に見るべきは「人」ではなく「業務」です。
・正社員でなければできない仕事は何か
・外部でも問題なく回る仕事は何か
この整理ができた企業から、コスト・リスク・スピードの最適解にたどり着いています。
正社員とBPOは対立関係ではなく、組み合わせることで最大の効果を発揮します。
採用か外注かで迷ったら、
まずは「いま社内で回している業務」をすべて書き出すところから始めてみてください。